都会で歌手をしていたミキは、歌手の道を諦め、故郷である龍ケ崎に帰ってくる。
しかし、過疎化が進み 町全体があきらめ顔の状況に 驚きと悲しみを隠せずにいた。
そんな中、新たな人生のスタートのために ショッピングセンターでパートとして働く。
ある日のこと 店内に淋しそうな表情の男の子オサムが佇んでいた。
心配になったミキが声をかけると、父親との関係が原因であった。
そしてその男の子を 自宅に送り届けようと一緒に歩きながら手をつなぎ歌を口ずさむミキ。
すると、男の子の表情が一変・・・。それには大きな意味があったことを 後に知る。
家の前まで送り届け帰ろうとした時、偶然役所の仕事を終え戻ってきたオサムの父親 健二と遭遇する。
健二は、市役所内地域活性化対策室に身を置き 町の将来のために 日々奮闘する健二は、真面目一本の頑固一徹おやじ。
仕事に一生懸命がゆえ、口うるさく 家庭を振り向かない健二の姿に家庭は崩壊状態だった。
ある日のこと・・・・
健二が外回りから役所に戻ると毎年町民たちが楽しみにしている恒例のイベントが 財政難によって中止になるかもしれない・・・と告げられる。
怒りと落胆にかられる健二。
一方で 健二の息子オサムは、友人優子のおばあちゃんの家を訪れる。
歌まつりの開催を楽しみに待ちわびている ひとり住まいの孤独な老女。
老女は、歌まつりの開催だけを 楽しみに オサムたちとの会話に笑顔がこぼれる。
そしてまたある日のこと・・・・
オサムが、学校を終え、トボトボと歩いていると 一匹の子犬と出会う。
どうやら 捨て犬らしい。
自分と同様に 淋しそうな子犬。
何とか連れて帰りたいが、父親の健二が動物を飼うなど許すはずもないことは、オサムが一番よく知っていた。
オサムは子犬を ショッピングセンターの裏側へ連れて行き、ダンボール箱で家を作ってやる。
その後も 毎日食べ物を運んでやったり、一緒に遊ぶオサム。
名前は、『龍ヶ崎』から 『リュー』と名付けた。
やがて オサムの同級生達もリューの存在を知る。
いつもひとりぼっちのオサムだったが、リューの存在をきっかけに 同級生も徐々に和み、やがて皆んなで一緒にリューを可愛がる。
だが、ある日、上級生のいじめっ子たちが、やってきて リューの家を壊してしまう。
オサムは、必死で阻止しながらも 怯えたリューを逃がす。
いじめっ子たちが立ち去った後、いなくなったリューを必死で 探すいオサム。
その先には、一見幸せそうに見える家庭の中で 実は、隅に追いやられた老女の姿があった。
老女を罵倒する鬼嫁。
ひとり住まいの老人だけが、孤独ではない・・・
家族があっても 孤独な状況下に置かれている老人もいるのだった。
それぞれの家庭事情、孤独な老人たち、町民同士の確執など、様々な背景を知るミキ。
閉塞感漂う町に 昔のような活気を呼び戻すことはできるのか・・・
そして中止になろうとしていた 『歌まつり』開催への 突破口をみつけることができるのか・・・・。